「離婚をすると慰謝料がもらえる」は間違い
よく離婚をすると慰謝料がもらえると間違った解釈をしている人がいます。 慰謝料というのは、精神的苦痛に対して支払われる損害賠償のことで、離婚をすれば必ずもらえるものではありません。
慰謝料を請求できる法律上の理由は、民法709条と710条に定められています。 このうち離婚原因の慰謝料は770条に定められている離婚事由を基準に考えられています。 ただ、離婚原因の慰謝料と書きましたが、離婚をしない場合でも、不貞行為や悪意の遺棄、暴力などの不法行為があった場合、慰謝料を請求することができます。
- 【民法709条】
- 故意または過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- 【民法710】
- 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれかであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負うものは、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
- 【民法770条】
- 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
- 配偶者に不貞な行為があったとき
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
- その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
慰謝料には、刑事罰のように「~をしたら○○万円」というような明確な決まりはありません。 夫婦の様々な事情を考慮し、金額を算定していきます。 場合によっては、数百万円の請求が認められるケースもあります。 考慮される事情には、下記のようなものがあります。
共通して考慮される事情
- 婚姻期間
- 相手の年収
- 年齢
- 子供の有無
浮気や不倫の場合に慰謝料が高額となる事情
- 不倫関係の期間が長い
- 不倫相手と同棲している
- 不倫相手との間に子どもが生まれている
- 不倫が発覚して別居となった
- 不倫が発覚してから通院が必要なほどの体調不良になった
慰謝料の金額はいくらくらい?
一般的に相手が浮気や不倫をした場合の金額の相場は100~300万円に落ち着くことが多いと言われています。しかし、事情によってはそれを下回ったり、500万円などの高額な金額が認定されるケースもあります。 慰謝料の相場
慰謝料の請求期間
不貞行為を原因とする慰謝料の請求は、不貞行為があると知った時から3年以内であれば請求することができます。 また、不貞行為が原因で最終的に離婚に至った場合の慰謝料請求は離婚から3年まで請求することができます。 不貞行為が発覚してから間もない期間に離婚に至った場合、これらを区別して請求することはあまりありませんが、不貞行為が発覚してから期間がたってしまったからと言って、慰謝料の請求を諦めてしまわないでください。
慰謝料に税金はかかるのか
慰謝料は損害賠償ですので、金銭で払われる場合、原則として贈与税も所得税もかかりません。 ただし、不動産を売却して支払う場合や、不動産そのものを譲り受ける場合は、譲渡所得として所得税や住民税が課せられます。 そのような方法で慰謝料を受け取るのが双方によって一番負担が少ないかは弁護士等に相談したほうが良いでしょう。