離婚後の戸籍と氏について(離婚した当事者)
夫婦が離婚した場合、結婚の際に相手の姓に変わっていた当事者は、旧姓に戻るか婚姻時の姓を名乗り続けるか、選ぶことが出来ます。また、離婚によって、婚姻時の戸籍からは出ることになるので、自分の新しい戸籍をどのように編成するかも決めなくてはなりません。
このように、離婚の際の戸籍と氏については、意外と知られていない問題があります。
今回は、離婚後の戸籍と氏について解説します。
1.離婚後の戸籍の選択
夫婦が離婚する場合には、離婚後の自分の新しい戸籍をどうするかという問題が発生します。結婚の際に、相手方の戸籍に入っていた方の当事者は、離婚によって婚姻時の戸籍からは出ることになるので、自分の離婚後の籍をどこに置くかを決めないといけないからです。
この場合、自分の新しい戸籍については2つの方法から選ぶことが出来ます。
1つ目は、自分だけの新しい戸籍を編成する方法です。もう1つは、もとの実家の戸籍に戻る方法です。
自分だけの戸籍を編成する場合には、その戸籍には自分一人しか入っていません。もし子どもの籍を一緒に入れたいなら、裁判所に子の氏の変更許可申立をして、その新しい戸籍に子どもを一緒に入れる手続きを執らないといけません。また、自分一人の戸籍なので、たとえば家族に戸籍謄本をとってきてもらうなどの手続きは利用出来なくなります。
離婚後、実家の戸籍に戻る場合には、いったん婚姻によって出た戸籍に再度戻ることになります。家族が一緒の戸籍なので、家族に戸籍謄本を取り寄せてもらうことも可能です。ただし、この場合には、戸籍にいったん×がついて、再度その籍に入り直す形になるので、一見した離婚した経験がある事実が明らかになってしまうというデメリットがあります。このことがあるので、離婚経験がある人はバツ一などと言われるのです。
このように、離婚後の戸籍については、新しい戸籍を編成するか、元の戸籍に戻るのかについて選ぶ必要があります。
2.離婚後の氏の選択
離婚した場合には、離婚後の氏も決めないといけません。結婚時に結婚相手の姓に変えていた場合には、離婚によって旧姓に戻ることが原則です。ただし、旧姓に戻るとなると、たとえば預貯金通帳や免許証など、各種の書類や手続きにおいて名前を変更しなければならないので、非常に手間になります。また、離婚したことが周囲に明らかになってしまうデメリットもあります。そこで、離婚後であっても、婚姻時の姓を名乗り続けることが出来る制度がもうけられています。これを、婚姻続称と言います。
婚姻続称の制度を利用すれば、離婚後も結婚していた際に使っていた名字をそのまま利用することが出来ます。婚姻続称をしたい場合には、離婚時や離婚後に役所に届け出ることが必要です。
3.婚姻続称の届出期間
離婚後も結婚当時の姓を名乗り続けるためには婚姻続称の届出をする必要があります。ただ、婚姻続称の届出をするには、期間があります。期間を超えると、役所での届出はでき無くなりますので注意が必要です。
婚姻続称の届け出期間は離婚後3ヶ月です。よって、離婚後も婚姻続称したい場合には、早めに役所に行って、手続をしましょう。ただ、離婚後どちらの姓を利用するか、迷ってしまって3ヶ月が過ぎてしまうこともあります。もしこの期間を超過してしまった場合でも、婚姻時の姓を利用出来ないということにはなりません。この場合には、家庭裁判所に申立をして「氏の変更許可」の決定をしてもらう必要があります。氏の変更が認められるためには、変更の必要性などを説明する必要があります。
そして、裁判所で氏の変更許可の申立が認められれば、氏の変更許可の決定書を役所に持参して手続をすることによって、婚姻時に使っていた姓を利用することが出来るようになります。
まとめ
離婚後は、新しい戸籍と氏についてどのようにするかを決める必要があります。戸籍については、自分の新しい戸籍を編成するか、実家の戸籍に戻るかを決めなければなりません。氏については、原則として旧姓に戻ることになりますが、婚姻続称の制度を利用して婚姻時の姓を利用することも可能です。